変形性膝関節症の症例（オーダーメイドインソール）

2024年12月27日 2024年12月27日

Reve代表

ご覧いただきありがとうございます。

数年前から長く歩いたり、仕事などの作業を行うと膝に痛みが生じる60代男性に対してオーダーメイドインソールの処方を行いました。実際の処方手順も記載してあるので参考にしていただければと思います。

この方は数年前から以前勤務していた整形外科に通っていただいていた患者様でした。

整形外科でレントゲンを撮り、両側の変形性膝関節症と診断され、定期的にリハビリに通いましたが、保険診療内では介入時間や内容も制限されていたため、一時的には症状が軽減するものの根本的に症状を改善するにまでは至りませんでした。

この方の場合、特に膝に負担をかけているのは歩き方（歩容）と、荷重をかけたときのバランスの取り方でした。

【歩き方やバランスの取り方の特徴】

左足に体重がかかった時に左膝外側に揺れる（左膝Lateral thrust）
右足への荷重時に上半身が右に傾く
上半身での身体の捻り（回旋運動）が少なく、重心を横に揺らしながら歩くため、膝が外側に揺れやすくなる
右足は常につま先をやや内側に向けてバランスをとり、足の内側～膝内側の筋肉に負担がかかりやすい
左足は外反扁平足というつま先が外側を向いて内側のアーチが下がり、膝のO脚（内反変形）を増長させやすい状態で、片脚立ちのバランスも保てない状態でした

など

このような歩き方やバランスの取り方をすることで、足首は硬くなりやすく、足のバランスをとる筋肉は機能しづらくなっていました。

その影響で、膝ウラ内側の筋肉は過度に緊張した状態になり、常に筋の滑走性が低下している状態になっています。施術などで一時的にその滑走性が改善しても、また歩くと動きが悪くなり症状を誘発してしまう状態を繰り返していました。

そのため、こちらから歩き方を改善させるためにオーダーメイドインソールの処方を勧めさせていただきました。

【実際の処方の流れ】

初めての方であれば、症状やお悩みなどを確認し、痛みがあれば患部の状態を確認します。この段階でインソールの処方が適しているかどうかも判断致します。足の問題がそれほどない場合や症状を引き起こしている原因が他にある場合などは他のプランを提案する場合もございます。ご了承ください。

インソール処方が適していると判断したら、実際に歩き方や姿勢、片脚立ちや前に脚を出した状態でのバランスの取り方、身体の捻り方の左右差の比較など、状態によって細かく動きをチェックした後、踵（かかと）や前足部分をどの方向に誘導すれば動きが改善するか確認します。

一般的にO脚の方に処方されるインソールは外側ヒールウェッジという踵の外側を高くして膝が外に行かないようにしよう、というものが多いです。

しかし、この方の場合、踵は内側で支えてあげた方が身体の捻りや、荷重時の膝の外側への揺れは改善しやすくなりました。また、前足部分の誘導する方向は左右で異なる位置にパッドを入れてあげた方が体重をかけたときの安定性が変わります。

実際に誘導したい方向に直接パッドやテーピングを貼り、歩き方の変化を確認します。

パッドを貼る前にチェックした動きや歩き方との変化を実感してもらってから、中敷きにパッドを貼り直して、靴に入れて歩き方を確認します。

※この時に足の裏に違和感を感じるほどパッドを高く入れてしまうと、実際に歩いているときに足に意識が向いてしまい自然と歩き方を改善することが難しくなります。よく靴の中に小石が入ったときに嫌な感じがして変な歩き方になりませんか？あれだけ小さい石でも違和感を感じると変な歩き方になってしまいますので注意が必要です。

歩き方などが改善していれば、中敷きに貼ったパッドがズレたり外れたりしないように専用のテープで固定してお渡しとなります。

※基本は時間内にお渡しが可能ですが、万が一、次の予約の方の時間に差し掛かってしまう場合は近日中にご郵送致します。

【インソール処方後の感想】

まず、足がスムーズに前に出るような感覚で歩きやすい！身体の揺れも減り、腕が振りやすくなった。今まで右足でバランスをとる時につま先を内側に向けないと安定しなかったが、インソールを入れているとつま先がまっすぐ向いた状態でもバランスが取れるようになった。左脚で片脚立ちできなかったのが出来るようになった。

この後、長く歩くのが楽しみです。

とのことでした。嬉しい一言です。